はじめに
三省堂さんから発刊されている「ビーコン英和辞典 第3版」を紹介します。
beaconは名詞で「信号灯、灯台、(人々の)導きとなるもの、かがり火」といった意味の単語ですね。
英語の勉強の「導きとなるもの」という思いが込められて、つけられた名称だと思います。
同じ三省堂の辞書「エースクラウン英和辞典」と掲載項目数などが近いので、その違いなどについても触れていきたいと思います。
辞書の外観



赤いですね!
三省堂の英和辞典と言えば赤色ですから。
ちょっと写真の撮り方がよろしくなかったようで、色が分かりづらいかもしれませんが、辞書デザイン(辞書本体)は明るめの赤い色で、そこに「BEACON」の文字が銀色でタテに表示されています。
エースクラウン英和辞典より赤みが強いですよ!(エースクラウンの方が明るく、オレンジ色に感じます)
辞書の概要
辞書名称 | ビーコン英和辞典 第3版 | ||
見出数 | 約48,000項目 | 監修・編者 | 宮井 捷二 |
出版社 | 三省堂 | 価格(税込) | 2,970円 |
発刊年月 | 2017年5月 | 総ページ数 | 1,682ページ |
タテ×ヨコ | 18.6cm×12.6cm | 厚さ | 4.0cm |
重さ | 696g | 色使い | 黒・赤の2色 |
構成 | 1ページに2列 | 1列の文字数(日本語) | 約19文字 |
カタカナ発音 | あり | 巻頭特集 | なし |
表紙の裏面 | アメリカ、カナダの地図 | 背表紙の裏面 | その他英語圏の地図 |
(辞書内にある お役立ち情報等) | 特徴・特集似ている単語:日本語訳の似ている単語を比較・紹介 どっち:似ている英単語を比較・紹介 ファミリー語:見出し語と同類の語句を紹介 使い方:見出し語のくわしい用法 注意:特に誤りやすい点を指摘 覚えよう:語彙力を高めるためのアドバイス テスト!:試験問題をもとにしたテストで学習ポイントをおさらい 日英比較:日本と欧米の文化的な違いを紹介 会話:会話文の用例 文法:文法用語として用いられる英単語を解説 | 単語力:基本かつ重要な語句約200個について、語義のまとめを掲載||
付録(巻末) | 不規則動詞表 | 和英小辞典(12,000項目) 手紙とEメール 度量衡換算 数字の読み方||
その他 | ・同内容の小型版が出版されています。 |
中身をのぞいてみよう!
比べてみよう
同じ三省堂から発売されている「ビーコン英和辞典」と「エースクラウン英和辞典」は、どちらも「中高生から大人の学びなおし」まで活用できますとされており、掲載項目数もビーコンは約48,000項目、エースクラウンは約51,000項目と非常に近しい辞書になっています。
そうなると、どちらを購入すればいいのだろう?自分の勉強にはどちらが合っているのだろう?といった疑問も沸いてくるかと思いますので、試しに単語を調べてみましょう!
まずは「dog=犬」を調べてみますと、こんな違いがあります。
ビーコン英和辞典 | エースクラウン英和辞典 | |
意味 | 1:犬 2:くだらないもの、失敗作 | 1:犬、(狼、狐の)雄 2:やつ、男 |
例文 | 7個 | 3個 |
関連語 | 9個 | 4個 |
フレーズ | 3個 | 7個 |
こうしてみると結構な違いがありますね。
ビーコン英和辞典に掲載されている例文は、「犬を引き綱につないでおく」、「私は毎朝犬を散歩に連れていく」など、日常的に使用する例文が多いイメージです。
一方でエースクラウン英和辞典に出ているフレーズは「食うか食われるかの争い」、「落ちぶれる」、「Aのことを粗末に扱う」など、ドラマなどで出てきそうで、知らなければ意味が分からなそうなものを照会してくれています。
通常の英語学習を念頭においた堅実な内容の「ビーコン英和辞典」、学習に加えて日常生活での英語の活用まで考えられている「エースクラウン英和辞典」とも言えるかもしれません。
他の単語も幾つか比べてみましたが、掲載されている内容の幅広いのがエースクラウン、例文の掲載が多いのがビーコンという印象を持っています。
どちらを選ぶかはお好み次第ですね。
もし、私が今の自分用に選ぶのであればドラマなどを見る機会が多いので「エースクラウン」
もし、私が中学生にオススメするのであれば「ビーコン」
もし、私が高校生にオススメするのであれば、英語に興味を持ってもらいたい場合は「エースクラウン」、真面目な子で学力アップにまい進してもらいたい場合は「ビーコン」
ですかね。
掲載項目数の違いは?
収録項目数はビーコン英和辞典が約48,000項目、エースクラウン英和辞典が約51,000項目とされており、3,000項目程度の違いがあります。
長く使うということを考えれば、いずれ難しい単語に出会う可能性もあり、少しでも項目数の多い方がよいかなと思いますよね。
両方の辞書をパラパラとめくってみまして、こんな違いがありました。
・エースクラウンには「knows=knowの三人称単数現在形」という見出し語がある一方、ビーコン英和辞典には「knows」が単独では掲載されていません。
・エースクラウンには「Kolkata=コルカタ(地名)」という見出し語がある一方、ビーコン英和辞典には同様の見出し語は掲載されていません。
全てのページを比べたわけではないので、何とも言えませんがこの2つの事例を見る限りですと、掲載項目数の違いはあまり気にしなくても良さそうですね!
読まない箇所は薄く表示
こちらはビーコンとエースクラウンの両方に見られる、ありがたい表示になります。

こちらの画像「knock」のうち、「k」の文字だけが薄くなっているのがお分かりでしょうか?
これは「薄くなっている部分は発音しませんよ!」という目印です。
これはありがたい教えですよね!
ノックするというのは既に日本語としても使われますから、この読み方を気にする人はあまりいないかもしれませんが「クノック」と読みたくなってしまうところを、薄い表記とカタカナ表記でカバーしてくれています。
特集では「注意」と「覚えよう」がおすすめ
ビーコン英和辞典にも概要のところでご紹介したとおり、たくさんのコラム(特集記事)が掲載されています。
その中でも特に私がおすすめしたいのは「注意」と「覚えよう」の2つです。
「注意」は見出し語の使い方について、気をつけるべきことが分かりやすく解説されています。
例えばdinnerという単語のページには「日課としての食事をさすときはaやtheがつかない」という注意書きがされています。
おぉ、なるほど。
思わず「have a dinner」などと表現してしまいそうなので、注意が必要ですね!
もちろん、他に辞書にも同様のアドバイスは大抵、記載されていますのでbeacon英和辞典だけの特徴というわけではありませんが、こうしたアドバイスがしっかりと記載されているのは、ありがたいことです。
ちなみに「注意」は合計で139個の単語について掲載されています。
もう1つは「覚えよう」という特集記事です。
こちらは合計で105個の単語について掲載されているのですが、内容としては綴りが似ている単語や、誤りやすい単語が複数掲載されているというものになります。
なぜ、私がこの特集をオススメする理由は、ズバリ、「もうこれは覚えてください」という分かりやすすぎるメッセージがいいなぁ!と思ったからであります。
英語の学習をしているとどうしても覚えないといけないけれど、覚えていなかったり、覚えていたつもりになっているものなど、たくさんありますよね。
でも、最強の単語帳でもある辞書に「覚えてください!!!」と書かれていたら、これはもう覚えるしかありません。
英語のプロフェッショナルの方々が長年の研究を経て、それでも辞書を作る際に「覚えるのみ」というメッセージを残してくださっているので、「よし、覚えるしかない!!」という気持ちが芽生えてきます。
この直球すぎるメッセージがいいと思い、オススメしました!
ただし、ビーコン英和辞典の特集記事でちょっと残念な点は、辞書の冒頭に「各特集記事が掲載されている単語」の一覧があるのですが、そこにページ数が記載されていないことです。
ちょっと特集記事が読みたいなと思った時にページ数の記載があるとすぐに該当箇所へたどり着けるのですが、ビーコンの場合は、各単語を探してから読む必要があります。
これがちょっと面倒なんですよね(笑)
もしかしたら、辞書をひくという行為を身をもって覚えるための配慮なのかもしれませんが。
小型版もあります
ビーコン英和辞典にも、エースクラウン英和辞典と同じように「小型版」があります。
残念ながら、私の手元には「ビーコン英和辞典 小型版」は無いので比較する画像などはお出しできませんが、その作りとしてはエースクラウン英和辞典及び小型版と同じかと思います。
小型版のメリットは携帯しやすいこと、軽いので使っていても腕が疲れないこと、値段が安いことなどが挙げられます。
一方で、通常版よりは文字サイズなどが小さくなりますので、その点はご注意ください。
どんな人にオススメ?
「基礎をしっかりと身につけたい、マジメな中学生・高校生」にお勧めします!
その理由としてましては、
・例文が多いこと
・代わりに普段使うけれど、受験には出てこないような表現などの掲載は少なめであること
・イメージ図などではなく、文章による説明が多いこと
などになります。
一言で言いますと、掲載項目数約40,000~50,000のいわゆる初級者向けの辞書の中でも【硬派】な辞書です。
辞書をしっかりと読み込み、たくさんの例文に触れ、学んでいくことのできる方に向けた辞書かなと思います。
自ら考え学んでいくことを助けてくれる辞書ですので、触れていくのはちょっと大変かもしれませんが、そのぶん実力はついていくのではないでしょうか!
おわりに
三省堂さんから発刊されている「ビーコン英和辞典 第3版」を紹介しました。
エースクラウン英和辞典が非常に有名ですので、その影に隠れてしまっているイメージもありますが、今回活用してみて、非常にいい辞書だなと感じました!
また、辞書を監修している宮井捷二先生は同じ三省堂から発刊されている「グランドセンチュリー英和辞典」も監修されています。
これは掲載項目数が約70,000語レベルで、ビーコン英和辞典などでは物足りなくなってしまった方などいわゆる中級者向けの辞書となっています。
同じ方が監修されているので、続けて使っていくという勉強の仕方もアリかもしれませんね!
ぜひ基礎英語学習のお供に!
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