はじめに
学研さんから発刊されている「アンカーコズミカ英和辞典 初版」を紹介します。
学研さんの辞書には「アンカー(錨)」という単語が共通して用いられています。
アクセスアンカー、ジュニアアンカー、ニューヴィクトリーアンカー、スーパー・アンカーなどがありますね。
本書は「アンカーコズミカ」です。
この「コズミカ」については次のような由来があるそうです。
(略)コンピューターが人間の生活の隅々にまで行き渡っている現代は、ことばの世界を”宇宙”にたとえるのが適当であろう。コーパス(電子化された言語のデータベース)の無数の用例の中に、やがてコンピュータが、幾筋もの軌道のように、文型的な決まった表現を表示し、あちらこちらに光り輝くすばらしい言い回しを探し出してきてくれるさまは、まさに”宇宙旅行”のそれと譬えたいものであった。
アンカーコズミカ英和辞典 まえがき より
ちなみにcosmic(宇宙の、途方もない規模の)という形容詞はありますが、cosmicaという単語は辞書を調べて出てきません。
本辞書の最初のページの裏側に「cosmica」はcosmic(宇宙の)に相当するラテン語です」という説明が書いてあります。
確かに「アンカーコズミック」よりも「アンカーコズミカ」の方がしっくりきます。
辞書の名前を決めるのにも色々な検討がなされているんだろうなぁと感じてしまいます。
英語の勉強だけには限りませんが、何かを学ぶというのはやればやるほど奥が深くなりますし、まさしく宇宙旅行のようなものかもしれませんね。
辞書の外観
アンカーコズミカ英和辞典の外箱、そして辞書デザインの表紙は「宇宙」が意識されているのがよく分かります。
外箱のカラー、そして辞書自体はグレーとどちらも奥深さを感じることのできるデザインです。
私はこの辞書を発刊された1年後である2009年に購入していまして、今まで寝かせていました。
買ったままになってしまいっていたのですが、改めて見てみると外装も中身も非常に素晴らしい辞書だなぁ、当時何気なく購入した自分、スゴイと思っています(笑)
もちろん今も購入可能ですので、よかったらぜひ!
辞書の概要
辞書名称 | アンカーコズミカ英和辞典 初版 | ||
見出数 | 約90,000項目 | 監修・編者 | 山岸勝榮ほか |
出版社 | 学研 | 価格(税込) | 3,630円 |
発刊年月 | 2008年3月 | 総ページ数 | 2,201ページ |
タテ×ヨコ | 18.6cm×13.7cm | 厚さ | 5.0cm |
重さ | 960g | 色使い | 黒・赤の2色 |
構成 | 1ページに2列 | 1列の文字数(日本語) | 約28文字 |
カタカナ発音 | なし | 巻頭特集 | なし |
表紙の裏面 | 世界地図 | 背表紙の裏面 | 英語圏の地図 |
(辞書内にある お役立ち情報等) | 特徴・特集和英のツボ:日本人が間違えそうな和英を解説 日英比較:日々の生活の中にある日英の違いを解説 その他にも囲み記事が多数掲載されていますよ! | 英語文化のキーワード:英米の方々の考え方、生活についての紹介||
付録(巻末) | appleは「りんご」か-英語と日本語のモノのとらえ方- 英米人のファーストネーム 変化形の作り方 不規則動詞変化表 | ||
その他 | ・スーパーアンカー英和辞典の上級版 |
中身をのぞいてみよう!
用例が豊富!
アンカーコズミカ英和辞典は収録項目数が約90,000となっており、中級英和辞典と上級英和辞典の真ん中くらいに位置している辞書です。(ほぼ上級寄りですが)
その割には厚さが約5センチメートルと充実しており、文字も比較的小さめ。
そうなると、何かの記載が多いのだろうと推測し比べてみると「用例が多いのではないか?」という結論に至りました。
例えば「indignity」(侮辱、屈辱という意味の名詞)を調べてみると、大抵の辞書では訳語のみか、訳語に加えてsuffer an indignity(侮辱を受ける)という用例が出ているのみでした。
しかし、アンカーコズミカ英和辞典ではsubject him to indignities(彼に侮辱を加える)という用例も出ています。
細かな違いかもしれませんが、結局単語を知っていてもそれをどのように使うのかを知っておかなければ意味がありません。
indignityという単語を知っていてもそれがsubjectという単語と一緒に用いられるといったことは用例を見なければ絶対に分かりませんよね!
用例が豊富な辞書、ありがたし!!
巻末のコラムは必見
巻末付録の1つとして【appleは「りんごか」か】というコラムがあります。
そりゃ、そうでしょ!と思ってしまいますよね。
このコラムが非常に勉強になりますので、ぜひ読んでいただきたいです。
例えば
- This is apple.
- This is an apple.
- These are apple.
- These are apples.
この4つの例文が並べられると「どれが間違っている英文でしょうか?」という問題が来ると思いませんか?
でも、実はどの例文も間違っていません。
えぇー!?!?
そうした内容を学ぶことが出来るコラム、ぜひ読んでみてください!
英米人のファーストネーム
こちらも巻末記事の紹介になりますが「英米人のファーストネーム」という記事があります。
面白いのは正式な名称とその略語・愛称が記載されていることです。
例えば、Matthew(マシュー)という名前の愛称はMatt(マット)ということが紹介されています。
それなら何となく想像つくわけですが、なかには我々日本人からすると想像もできない愛称もあるんだなーということを学ぶことも可能です。
例えば、Ann , Anna(アン、アンナ)の愛称は何だか分かりますか?
正解はNancy(ナンシー)です。
何でやねん!(笑)
では、Richard(リチャード)の愛称は何でしょう?
正解はDick(ディック)です。
だから何でよ!?!?(笑)
さすがにその理由などは分かりませんが、これは知らないと分かりませんよね。
そんな場面無いと思いますが、ずっと友達の名前がDickだと思っている中で、急にRichardという人から手紙が来たとしたら、危うく見過ごしてしまうかもしれません!
英語を勉強するときにはその文化や生活に関する様々な知識も一緒に学んでおきたいですね。
見やすい2色刷り
これは好みの分かれる話になりますが、色々な辞書を眺めていると「2色刷り」といっても非常に明るい赤色を使用しているものもあれば、ピンク色に近い赤色を使用している辞書もあります。
どれが正しいということはなく、どれが見やすいかも人それぞれです。
ちなみに「アンカーコズミカ英和辞典」の赤色は「茶色に近い赤色」です。
私は個人的にこの「茶色に近い赤色」が目に優しくてありがたいなぁと思っております。
パッと目に入ってくるインパクトなどは鮮やかな色の方が圧倒的に強いですが、この辞書の2色刷りは目がチカチカすることもなく、落ち着いて見ていられます。
ぜひ見比べてみてくださいね。
どんな人にオススメ?
学研さんから発売されている辞書の1つに「スーパー・アンカー英和辞典」があります。
こちらは高校生をターゲットとして作成されている辞書です。
今回紹介している「アンカーコズミカ英和辞典」はその上級版として作成されたものです。
そのため、主なターゲットは大学生、社会人と言えるでしょう。
それに加えて英語が大好きな高校生にも良いかもしれません。
発刊が2008年ですので最新の英単語の収録などはされていませんが、英語を学ぶという点では全く困ることもなく、むしろ用例なども充実しているので、英語学習のお供にいかがでしょうか。
おわりに
学研さんから発刊されている「アンカーコズミカ英和辞典 初版」を紹介しました。
学研さんの「アンカー」シリーズは種類も多く、どの辞書も使いやすいので本当にお勧めです。
有名なのは中級英和辞典である「スーパー・アンカー英和辞典」ですので、それに比べると今回ご紹介している辞書は知名度はあまり高くないのですが、たくさんの情報、見やすさなどお勧めできるポイントがたくさんあります。
隠れた名著と言えるかもしれませんね!
本屋さんで見かけた際にはぜひ確認してみてください。
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