はじめに
大修館書店さんから発刊されている「アクシスジーニアス英和辞典 初版」を紹介します。
超有名辞書である「ジーニアス英和辞典」の弟分にあたる辞書ですね!
アクシスの綴りは「axis」で、その意味は「軸、中心線」という意味です。
英語学習の「軸」になる辞書という意味が込められていそうです。
辞書の外観
アクシスジーニアス英和辞典の外箱は緑色がベースになっています。
一方で辞書本体は白色というか乳白色(黄色味が少しある白色)です。
ジーニアスシリーズの1つでもある「ベーシックジーニアス英和辞典」の本体色とほぼ同じ色になっていますよ。
ちなみに親分であるジーニアス英和辞典の本体色は「濃い紺色」または「黒色に近いブルー」となっているので、対称的です。
ちなみに外箱のイメージカラーである緑色ですが、辞書の「つめ」の部分に使われています。
「つめ」の部分というのは、辞書を閉じた状態で単語を探すときに使う見出し、インデックスの部分のことです。
「つめ」の部分が緑色というのはあまり見たことがないのですが、新鮮でいいですよね!
辞書の概要
辞書名称 | アクシスジーニアス英和辞典 初版 | ||
見出数 | 約75,000項目 | 監修・編者 | 中邑光男ほか |
出版社 | 大修館書店 | 価格(税込) | 3,300円 |
発刊年月 | 2019年12月 | 総ページ数 | 2,167ページ |
タテ×ヨコ | 18.6cm×13.7cm | 厚さ | 4.3cm |
重さ | 907g | 色使い | 黒・赤の2色 |
構成 | 1ページに2列 | 1列の文字数(日本語) | 約25文字 |
カタカナ発音 | なし | 巻頭特集 | 1日を英語で表現しよう |
表紙の裏面 | 世界地図 | 背表紙の裏面 | 英語圏の地図 |
(辞書内にある お役立ち情報等) | 特徴・特集使い分け:混同しやすい語の違いを解説 コロケーション+:よく使う単語の組み合わせを紹介 チャンク英会話:カタマリで覚えておくと便利な表現 語義ツリー:コアな意味から広がっていく語義をイメージで表現 前置詞イメージ図:前置詞の中心的意味を表現 | Question Box:英語に関する素朴な疑問に解答||
付録(巻末) | Discourse Markers:話や文章の方向性や流れを示す指標となる語を紹介 和英小辞典 不規則動詞活用表 | Typical Mistakes 100:日本人が間違えやすい項目100個を紹介||
その他 | ・アプリ「ジショサポ」が利用可能 |
中身をのぞいてみよう!
ジーニアス英和辞典とのちがい
「ジーニアス英和辞典」といえば超有名な英和辞典で、収録項目数も10万以上となっており、英和辞典といえばコレ!と思う方も多いのではないでしょうか。
では、こちらの「アクシスジーニアス英和辞典」とは何が違うのでしょうか。
こちらの辞書のまえがきには次の記載があります。
本辞典は、「ジーニアス英和辞典」(第5版)をベースに編集した、中級の学習英和辞典です。
このとおりジーニアス英和辞典(第5版)をベースにしているという記載がありますので、基本的にはほぼ同じということもできます。
情報量も当然ながら「ジーニアス英和辞典」の方が多いです。
一方で「アクシスジーニアス英和辞典」では記載する内容を厳選するとともに、英語学習者への配慮から若干、記載がことなる点などもあります。
例文が異なる
例えば、bet(~を賭ける)という単語がありますが、そこに掲載されている例文を比較してみると、
ジーニアスの例文:彼が成功する方に1ポンド賭けるよ
アクシスジーニアスの例文:彼が成功する方に10ドル賭けるよ
というように若干の違いがあります。
これはあくまで私の推測ですが、高校生の教科書などではポンドよりドルの方が一般的で馴染みがあるのではないかといった配慮がなされているのかなと思いました。
また、dabという単語を見てみますと、ジーニアス英和辞典では【動詞】の例文として「トーストにバターをさっと塗る」、【名詞】の例文として「バターのひと塗り」という例が記載されています。
一方でアクシスジーニアス英和辞典では【名詞】の例文は同じなのですが【動詞】の例文は「キャンバスに絵の具を軽く塗る」というものになっています。
これも私の推測ですがdabという単語が「バター」に使われるということは例文が1つあれば分かるので、違う内容のものにしようということで例文が変えられたのかなと推測しています。
そうした細かい配慮がありがたいですね!
字体・文字の大きさが異なる
中級学習英和辞典として約75,000項目が掲載されていますので、それなりに文字は小さく、掲載されている内容も多いですが、それでも本家と比べるとかなり見やすくなっています。
文字の字体についてはハッキリと異なっています。
それぞれの辞書に使われている字体の名称までは私も分かりませんが、「ジーニアス英和辞典 第5版」の文字がどちらかというと「明朝体」であるのに対し、「アクシスジーニアス英和辞典 初版」は「ゴシック体」に近いなと感じます。
文字の大きさも決して大きいわけではないですが、小さすぎるということはなく、更に各行の隙間(いわゆる行間)が他の辞書と比べるとわずかに大きく感じます。
そのおかげか中級学習英和辞典の中でもかなり見やすい辞書になっています。
さすが、比較的年次の新しい辞書は読みやすいですね!
Typical Mistakes 100 は必見。
いきなり巻末付録の紹介になってしまいますが、Typical Mistakes100は必見です。
日本人が間違えやすい項目が100個紹介されているのですが、「間違っている英語」→「正しい英語」をそれぞれ表記していくれているので、「こっちの表現はダメなのか!!」ということを非常に分かりやすく捉えることができます。
また、何が間違っているのかということも辞書内の【ココを参照してね!】ということが参照するべきページとともに記載されていますので、ついついそのページを見てしまいます。
これは辞書をたくさん引こう!ということにもつながって、よいやり方ですよね!
一例ですが、私が面白いな、これは間違えそうだなと思ったのが
「観光客は刺身に挑戦した」ということを表現する場合、challengeを使うのではなくtryを使うのが正しいそうです。
日本では「チャレンジしよう!!」ということは普通に会話の中で出てきますので「お刺身にチャレンジ」というのも何でダメなの?と思ってしまいます。
こうした思い込み、勘違いを的確に100個も紹介してくれているので、これは非常に勉強になります。
ちょっと眺めているだけでも「何でダメなの??」という気持ちが沸いてきてしまいますので、ぜひ積極的に眺めてみてくださいね!
使い分け
こちらはコラム(囲み記事)の紹介になりますが、混同しやすい語や表現の使い分けについての記載が212項目も掲載されています。
例えば「見つける」という内容を英語で表現したい場合に、どんな英単語が思いつきましたか?
こちらの辞書では、find , discover , detect という3単語についての使い分けが解説されています。
また「心」という単語はどうでしょうか。
heart , mind , soul , spirit の使い分けは大丈夫ですか?違いが分かりますか?
そんな解説が200個以上も衆力されているなんて、それだけを拾い読みしているだけで楽しくなってきますね!
決して難しい単語が比較されているわけではなく、見たことがある、聞いたことがあるという単語の比較が解説されているので、読んでいても飽きることがありません。
英語学習をより身近に、より勉強しやすくと工夫されているのを感じることもできますし、本当にオススメの辞書です。
ちなみに上位版である「ジーニアス英和辞典」を参考にした辞典ですので、基本的に「使い分け」として紹介されている内容は「ジーニアス英和辞典」にも掲載されています。
だが、しかし!
アクシスジーニアス英和辞典の方が圧倒的に見やすいです。
「語法」のジーニアスは健在
ジーニアス英和辞典は「語法」が充実しているということで有名です。
そもそも「語法」ってなに?と言われてしまうとなかなかうまく説明できませんので、これは国語辞典のチカラを借りたいと思います。
語法
①語が文を構成する上での法則。文法。
②言葉の使い方や、文の表現方法。
三省堂 大辞林 第4版より
そして、アクシスジーニアス英和辞典でもその魂は受け継がれておりまして、「まえがき」では次のように説明されています。
語法情報の見直し
「ジーニアス英和辞典」の大きな特徴である詳しい語法情報を、特に中級学習者が必要とする内容に絞り込み、また学習者にとってより理解しやすい表現に書きかえるなどのアップデートを行いました。
アクシスジーニアス英和辞典 初版 まえがき より
実際に「語法」の欄には本当に色々な内容が記載されていて、大変勉強になります。
使い方の〇×はもちろん、よく一緒に使う前置詞、似た単語との使い分けなど、それぞれの単語において注意すべき項目が分かりやすく掲載されています。
多くの「語法」に関する掲載があるので、「語法」だけの目次は残念ながらありませんが、辞書をめくっているとすぐに見つけることが出来ます。
文法書などで体系的なことを学ぶのに加えて、辞書でもぜひ「語の法則」を吸収することができたらいいですね!
その他の囲み記事(コラム)
その他の特集記事については以下のようなものが掲載されています。
- Question Box
- コロケーション+
- チャンク英会話
- 語義ツリー
簡単に紹介します!
Question Box
英語に関する疑問&解答が紹介されています。
全部で37項目と数は多くありませんが、読んでみると「たしかになんでだろう?」と思う内容ばかりです。
ただし質問の中には文法用語、文型の話なども出てきますので、そこだけは先に学習しておいてくださいね!
コロケーション+
ある単語とよく使われる単語の組み合わせが紹介されています。
全部で63項目紹介されていますので、こちらも数は多くありません。
裏を返せばこの63項目は辞書の作り手からするとぜひとも抑えておきたい組み合わせと言えるのかもしれませんね!
実際にどんな単語の組み合わせが紹介されているかと言いますと、例えばmoney(お金)という単語に、別の単語を組み合わせることで「大金、賞金、現金、税金」といった単語になりますよということが紹介されています。
どうですか?全部思いつきましたか??
チャンク英会話
チャンク英会話は覚えておくと便利な表現が紹介されています。
こちらは約60個ほどあり、知っている表現も多いと思うので全てが目新しいというわけではありませんが、もちろん勉強になりものもたくさんあります。
例えば「穏やかにNoと言いたい時の表現」など。
これもパッとは出てこなですよね!
もちろん私もこの辞書を見ていて学びました(笑)
最近は発信型の英語も重視されるようになっていますので、この際まるっと覚えてしまいましょう。
語義ツリー
今は多くの辞書で採用されている項目かなと思いますが、単語の暗記、イメージづくりには欠かせない内容です。
「なんでこの単語にこんな意味があるの?」と思うこと、多いですよね。
有名どころで言えばrunという単語の持つ「経営する」といった意味でしょうか。
これも初めて聞いたときは衝撃的だったことをよく覚えています。
「走る」=「経営する」というのも今聞けば、何となく分からないでもないかなと思いますが、やっぱりイメージしづらいですよね。
そうしたイメージを膨らませてくれるのが語義ツリーです。
積極的に活用しましょう!!
アプリ「ジショサポ」も使用可能
こちらは辞書を購入するとアプリが使用可能になりますが、実際にそのアプリで辞書の内容をそのまま検索できるわけではありませんので、お気を付けください。
あくまで学習サポート用として活用できるアプリになっています。
リスニングの問題にチャレンジしたり、ぜひ読んでおきたいと紹介した「Typical Mistakes 100」などを実際に学習することのできるコンテンツとなっています。
辞書の検索や囲み記事などを拾い読みするといった機能があれば、もっとよかったと思うのですが、そこは今後に期待したいですね。
いずれにしても辞書を購入すれば無償で使用可能になりますので、こちらの辞書を購入された際にはぜひ専用のアプリも覗いてみてくださいね!
どんな人にオススメ?
中級学習用英和辞典という位置づけでもありますので、メインは大学受験等を目標にしている高校生あるいはそれ以上の年齢の方が対象になります。
記事内でもちょっと触れましたが、解説の中には文型の話であったり、目的語が××といった文法用語も出てきますので、そうした話に馴染みが無いとちょっと使うのが厳しいかもしれません。
ですので個人的には「中学生だとちょっと厳しいのかな」という印象を持つ一方、英語が苦手だし文型とかよく分からないしという大人の方には手元に置いてぜひ活用できるよう挑戦してみてほしい1冊です。
もともとがジーニアス英和辞典を母体にして作られていますので、その内容が充実していることはお墨付き。
ジーニアス英和辞典がより使いやすくなっていると考えれば、お得感満載ですよね!
おわりに
大修館書店さんから発刊されている「アクシスジーニアス英和辞典 初版」を紹介しました。
ジーニアス英和辞典が有名すぎてあまり着目されていないのかもしれませんが、とても使いやすいです。
ジーニアス英和辞典を母体にしているならそっちを買えばよいのでは??と思ってしまうかもしれませんが、せっかく購入しても使いこなせなければ宝の持ち腐れです。
その点、アクシスジーニアス英和辞典はジーニアス英和辞典をいい感じにかみ砕いてくれていますし、見やすさも格段にアップしていますので、書店で一度は開いてみてほしい辞書だなと思っています。
願わくば「ジーニアス英和辞典 第6版」が2023年1月に発刊されたばかりですので、いずれはこちらをベースにした「アクシスジーニアス英和辞典 第2版」にもいつか出会えたらいいな!というのが個人的な願望です。
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