はじめに
「東大・京大で1番読まれた本」というキャッチコピーが気になってしまいました。
もう50歳を間近に控えたいわゆるアラフィフなのですが、若い頃に「もっと勉強して東大とか目指していたらなぁ」とふと思ってしまうことがあるお年頃。
そんなわけで少しでも東大脳、京大脳に近づけたらと思い、本書を読んでみることに(笑)
また、英語の勉強をしている中で「歴史を知る」、「昔の考え方を知る」、「背景を知る」ということが大切なのではないか、参考になるのではないかと感じています。
歴史や背景を知ることが勉強に直接役立つとは言えないのかもしれませんが、興味を駆り立ててくれたり、深みを与えてくれているのは確かです。
そうした思いもあってか、1986年の発刊以来未だに売れ続けている本書に大変興味が沸いてしまいました。
書籍の概要
今回ご紹介する書籍は
思考の整理学
ちくま文庫
なんと発刊は1986年4月 第1刷で、私が購入したものは2020年3月 第122刷です。
総ページ数は223ページ。
作者は外山滋比古(とやましげひこ)先生です。
外山先生は2020年にお亡くなりになられているようですが、お茶の水女子大学名誉教授、日本の英文学者、言語学者、エッセイストとしてご活躍されていたそうです。
本書が発刊されたのが1986年ですからそこから約30年弱も売れ続けているということにまず驚きます。
私の最近の経験ですと読みたいと思った本でも発行が2010年頃になりますと、書店に在庫があるかどうかはかなり微妙なので、そんな年数を気にすることもない大ベストセラーですね!!
本書ですがその名のとおり「考え方」についてのヒントを得られる本になります。
「あーせい、こーせい」といった記載はありませんが、今では当たり前のように言われている【朝に勉強するのがよい】、【忘れてしまうことは仕方ない】といった勉強への姿勢や、【コンピューターが人間の業務を行うようになるだろう】から人にしか出来ないことを考えていくべきであるといった、先見性に富んだ1冊になっています。
今から30年前からこうしたことを提言されていたのにもビックリですが、勉強や学びの根幹にあるものは変わらないのだなという見方もできますね!
そうしたことを教えてくれる本書が人気なのも納得です。
また、私個人の意見になってしまいますが、本書が売れている理由として「忘れる」「捨てる」というキーワードがあるように感じました。
思いや考えを整理していく中では、まず整理をする大前提として様々なアイデアを集め、忘れないようにしなければならないと考えてしまいます。たくさん集めておけば、今は使わなくても後で約に立つことも出てくるかもしれません。
しかし、本書では「忘れなさい」「捨てなさい」という記載が出てきます。
もう少し正確に言いますと「必要なモノしか残らない」という表現の方がよいかもしれません。
なかなか忘れようと思っても忘れられない、捨てようと思っても捨てられないってことありますよね。
普段思っていることの逆が正解だよと教えてくれていることが本書の魅力であり、長い間支持されている理由の1つかなと感じます。
印章に残った言葉3選
私が本書を読んでいた中で勉強になったなと思う言葉はいくつもあったのですが、その中から3つほど紹介します。
教え惜しみ
道場や老舗の飲食店なのでは「師匠の技を見て盗め!」みたいな話がよくあります。お寿司を握ることができるようになるまでは何年、下手したら10年以上といった話を聞きますよね。
一方で、最近はしっかりしたマニュアルなどがあれば、相応のものが出来るのではないか?という話もあります。
実は私もそう思っている一人でして、昔からの慣習だからとか長くいる方が上、年功序列みたいなのはあまり好きではないなと思っています。
しかしながら本書では、あえて教えない・教え惜しみをするのは学ぶ意欲を駆り立てるために行われているという記載がありました。
これを読んでそれは一理あるかもしれないと思った次第です。
結局、意欲的に長く続けられるか否かは「好き」かどうか、興味を持ち続けられるかどうかにかかっているわけです。
さすがにものすごく長い期間を対象にするのはどうかなと思う所もありますが、たまには教え惜しみをすることも大切かもしれません。
つんどく法
学びたいことに関連する本や資料を集め、机の横に積み上げ、一挙に読み進めてしまおうという手法が紹介されています。
しかも大事なことは自然と頭に残るという前提の下、ノートやメモは極力取らないようにし、頭の中のノートだけに残そうとするのです。
この内容を読んで、私が大好きな漫画「宇宙兄弟」の中に出てくるセリフを思い出しました。それは「心のノートにメモっとけ」という言葉です。
勉強などで大事なことは「頭のノート」に、気持ちや思いなどは「心のノート」にしっかりとメモしていきたいですね!
ほめるのは最上のあいさつ
何かを行う、考えを巡らせる場合でも消極的だと出来るものも出来なくなってしまうかもしれません。
失敗したときなどはそのことがいつまでも頭から消えませんし、自信を失っている時は何も手につきません。
本書には次のような記載があります。
平凡な人間は見え透いたことばでもほめられれば力づけられる。
お世辞だとわかっていても、いい気持ちになる。
それが人情なのではなかろうか。
全くもってそのとおりだと思いました。
私はいたって凡人なので怒られるより、褒められる方が好きです。嬉しくなります。
自分が誰かに褒めてもらえる回数の数倍、数十倍も人をほめていきたいと思わせてくれる一言でした。
おわりに
今回は「思考の整理学」を紹介させていただきました。
長年売れているのもよく分かります。今の時代に読んでも共感できる点が多々あるため、本書に勇気づけられている人も多いのだろうなと思います。
最近は新書でも税込みで1,000円近くするものばかりですが、本書は税込みでも572円で読むことが出来ます。そしてその中身は有益な情報ばかりです。
何か行き詰っているな、モヤモヤするなという時にサッと開いて読みたい1冊です。
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